だまらん

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小松恭子議員(共産党)の発言 http://www2.gikai.metro.tokyo.jp/よりの引用

2004.12.16 : 平成16年第4回定例会(第18号)
◯三十五番(小松恭子君) 私は、日本共産党都議団を代表して、第二百五十 一号議案、公立大学法人首都大学東京定款について外二十六議案に反対する立 場から討論を行います。
 首都大学東京の定款は、都立大学を初め四大学を統廃合し、独立行政法人化 による新大学を来春設立させようとするものですが、今議会に至る論議を通じ て、知事の新大学構想が四大学の学問的蓄積や高い社会的評価を全面否定し、 大学の自治や学問の自由を根底から破壊するものにほかならないことが浮き彫 りになりました。
 都立の四大学は、都市問題など独自の研究成果や多摩地域の中小企業との連 携などの活動を進め、都立大を初めとする少人数教育や、国の科学研究費の獲 得でも抜群のレベルを誇り、ビジネス雑誌でも評価ランクの上位に位置づけら れるなど、都民、国民はもちろん産業界にも高い評価を得ていました。とりわ け夜間のB類は、働きながら学ぶ学生に高い学問水準を保障する貴重な存在で した。
 大学改革というなら、この都立の大学のよさを全面的に発展、継承すること こそ必要なのに、知事の構想は、効率最優先で、少人数教育も夜間部も基礎研 究部門も投げ捨て、もっぱら経済界に即戦力となる人材育成、企業利益に直結 する研究開発や実業優先のカリキュラムなどに特化した大学に強引につくり変 えるというものです。
 その手法も、大学と積み上げた合意も突然破棄して一方的な構想を持ち上げ、 従わない者は新大学に採用しないとおどかし、研究費の配分でも差別し、学生、 院生には一切会わないなど、強権的で異常なやり方がまかり通ってきました。  今議会に提案された定款案は、知事が任命する理事長に学長の任命や法人の 運営で強い権限が集中し、教育研究にまで介入できる内容になっています。そ もそも地方独立行政法人法は、法人の業務の範囲を大学の設置及び管理として いるにもかかわらず、定款案は、法人の業務を大学の設置及び運営としていま す。管理と運営は全く意味が違うのであって、定款は法に反します。これは法 制定時に衆参両院で決議された、大学自治と学問の自由の尊重を求める決議を も踏みにじるものであり、大学関連議案に反対するものです。
 さて、長期の不況と急速な少子高齢化社会の進行に対応し、都政がどのよう な施策を展開するのか、また、都議会がそのことについて都民の立場からどの ように審議し、ただしていくのかが、今日ほど鋭く問われているときはありま せん。
 我が党は、この立場から、今議会において、石原都政の五年を改めて検証し、 都政が、住民の福祉の増進という自治体のあるべき姿に立ち返るよう求めまし た。
 石原都政の五年は、東京構想二〇〇〇を基本に、財政再建推進プランと都庁 改革アクションプランという二つのプランに基づいて、福祉、教育、中小企業、 環境などあらゆる分野での施策の切り捨てが進められた五年間でありました。  とりわけ福祉の分野では、経済給付的事業と各種補助金の見直し、都立施設 の廃止、予算の使い残し、さらには、拡充するといった施策も棚上げするとい う前代未聞のやり方が進められ、五年間の予算で六百六十一億円、四年間の決 算では七百六十四億円も後退させられてきたことを指摘し、その誤りをただし ました。
 これに対して石原知事は、この事実を認めることを拒み、その質問の根拠が どういう数字にのっとっているのかわからないといって、歴代知事による編成 予算の比較なる数字として、福祉予算が一般会計予算に占める割合について、 石原知事が九・二%、青島知事が八・一%、鈴木知事が六・四%、美濃部知事 が六・四%という数字を本議場で読み上げました。
 しかし、知事が読み上げた数字は、知事が福祉予算を充実したという根拠を 示すものとは到底いえないものです。歴代知事と比較するというのであれば、 前任の知事の到達点に立って、新しい知事がどれだけ福祉予算をふやしたのか が問われますが、ふやしたどころか減らしたのは、四代の知事の中で、石原知 事、あなただけです。すなわち、構成比で美濃部知事は三・二%から六・五% へ倍増させ、予算額では十二倍化させたのです。鈴木知事は〇・四%、青島知 事が二%伸ばし、予算額でも、それぞれ前任者より福祉予算をふやしています。 ひとり石原知事だけが構成比でプラスマイナスゼロ、予算額では大幅なマイナ スとなっているのです。
 しかも、石原知事の福祉予算の比率が上がったというのは、知事が予算をふ やしたからではなくて、バブル崩壊後の税収大幅減で予算の規模が前年より三 千百億円、比率で五%も急減したために、全体に占める割合が相対的に増加し ただけにすぎません。
 加えて、知事が使った数字は、石原知事の予算では基礎となる予算総額から 都営住宅予算や清掃事業費は入れていないのに対し、それ以外の知事の予算で これを入れたままで計算し、結果として石原知事の予算の構成比が高くなるよ うにしているもので、著しく公正さに欠けるものです。
 幾ら都合のよい数字を並べてみても、福祉予算を後退させたという事実は覆 りません。根拠もなく公正性に著しく欠ける数字を、議会の場で答弁に使用す るという福祉保健局の見識が疑われることを申し述べておきます。
 多摩老人医療センターを廃止し、東京都保健医療公社に移管する条例改正も 認められません。そもそも都立多摩老人医療センターは、全国に三つしかない 高齢者専門の病院の一つとして高い評価を与えられてきた病院であり、本格的 な高齢社会を迎えようとしている今日、拡充こそが急がれているものです。
 現在のセンターは、差額ベッド代がなく、入院しても医療費と食事代だけで 済むことから、年金生活者や低所得者の方でも安心して治療が受けられる病院 として喜ばれているものです。公社化は採算優先の経営に転換することにほか ならず、既に公社化を前提に看護師の削減が進められ、非常勤の医師がふえる など、医療の後退を危惧する声が上げられています。
 知事は、これらの福祉の切り捨てを進めるに当たって、財政が厳しいことを 挙げましたが、事実はそうでなく、都市再生を初めとする大型公共事業に予算 をつぎ込んできたからにほかならないことも、我が党の質疑で明らかにされま した。一兆円に高どまりしている投資やむだ遣いを改めること、大幅な増収を 活用することで、福祉を初め都民施策の拡充と都財政立て直しに踏み出すこと は十分可能であること、重ねて申し述べておくものです。
 三宅島の帰島を目前にして、都が住宅再建に百五十万円の支援を行うとした ことは、極めて重要であり、歓迎するものです。そもそも我が党は、住宅再建 への助成について東京都に繰り返し要望してきたところであり、帰島決定後の 九月に行った申し入れで、我が党だけがこの住宅再建への助成を提案したこと は、三宅島島民がよく知るところであります。限度額の三百万円までの引き上 げ、火山ガスの高濃度地区の住宅を初め、せめて国並みの期間の延長を、重ね て要望しておくものです。(発言する者あり)静かに聞きなさい。
 憲法を否定してはばからない知事の異常な姿勢に、多くの都民が衝撃を受け ています。我が党が、憲法に対する知事の姿勢について、知事の立場は、アメ リカが進める戦争に参加していくために九条が邪魔だというのではないかとた だしたのに対し、知事は、九条は改正の余地がある、改正すべきだと発言しま した。これは、憲法の遵守が強く求められている自治体の長として認められな いものであり、かつ、第二次世界大戦の苦い教訓から、二度と戦争をしないと 誓い、戦後六十年を迎え、平和を希求している都民の願いに背くものとして、 断じて許されないものです。
 憲法尊重擁護義務についても、知事は、細菌テロが起きた場合などという事 例を持ち出して、場合によっては憲法を無視してやる、命がけで憲法を破るな どと発言しました。しかし、知事が持ち出した事例であっても現憲法の精神の もとで対応可能であり、憲法を無視する理由にはならないのであります。  知事は、地方公務員の長であり、職員に憲法遵守を義務づけている責任者と しての重い責務については、ついに答弁をしませんでしたが、九十九条違反で 結構といい放ち、最高法規である憲法を踏みにじって構わないという姿勢をと る知事の立場は、知事としての職務と両立しないことを、改めて厳しく指摘し ておくものです。
 最後に、知事の福祉を初めとする都民施策の切り捨て、住環境破壊と都財政 難をもたらす都市再生、憲法と民主主義否定というゆがみのあらゆるあらわれ と厳しく対決していくことを重ねて表明し、討論を終わります。(拍手)


top[2005/04/20] レッドパージ:「世間の目」 とは違った現実小松恭子議員(共産党)の発言