2005年7月16日<ignorance>
「都立大って首都大になったんじゃないの?」という声[2005/07/16]
1. はじめに結論
「都立大って首都大になったんじゃないの?」という疑問を、都立大を出てから
というもの、何度も聞かされることになった。
もちろん、「それは違います。都立大学は2011年3月までは、存続するんです。」
と答えることにしている。
2005年7月のある日、都立大のプレート を証拠写真として撮影してきた。 これは、大学正面入り口の左門柱にあるプレートだ。右門柱には、 「首都大学東京」のプレートがあるが、これは撮影しなかった。 つまり、今、南大沢のキャンパスの入り口には、右に「首都大学東京」、 左に「東京都立大学」の看板がかかっている。2つの大学が併存している状況が、 南大沢キャンパスに行くと一目瞭然で分かる。
もちろん、現在(2005年)でも東京都立大学の学生・院生はいる。いや、むしろ、 南大沢では、東京都立大学の学生・院生の方が多数派である。 大学2年生から4年生、および、B類の3年生から5年生、そして、 修士課程2年生以上は、すべて都立大生なのだから、圧倒的多数といってもよい。 しかし、都立大には新入生が入ってこないので、 これから、一年毎に都立大生の数が減っていく、という状況だ。
2. 学術振興会の扱い
印刷版の募集要項のコード表に東京都立大学は「無い」ことが確認されている。
しかし、Web版の募集要項には、東京都立大学のコードが
「平成16年4月及び平成17年4月の統合前の大学」として掲載されている。
(http://www.jsps.go.jp/code_18/code_b1.html
を参照。)
このちぐはぐな対応に対して、ある学生が学術振興会に問い合わせをした。
その結果、判明したのは、
・出身大学としての都立大は Web 上のコード表で OK らしい
・受入機関として都立大を選ぶには、受入教員あるいは事務方次第
という返事をもらったそうだ。
首都大学東京へ就任しなかった教員が指導教授として学生を受け入れる場合、
受け入れ教員が、「私は都立大所属です」と主張すれば、
Web 上のコード表を使える可能性はあるようなのだが、
東京都立大学は、すでに消滅していた!? [2005/06/27][2005/06/28]
で説明したように、首都大学東京の事務では、
その他の大学(9999)扱いをしているようなのだ。
3. 世間一般の認識
最初に述べたように、世間一般では、
「都立大は首都大になった」という認識が多数を占めているようだ。
都立の4つの大学の統合といっても、現状では、5つの大学組織が併存し、
「地方独立行政法人 首都大学東京」の管理下に置かれていることは、
ほとんど知られていない。
4. されど骨抜き4大学
いわゆる新大学として発足した「首都大学東京」と並列する
母体となっている4つの大学は、法人化に伴い、(1) 総長/学長なし、
(2) 評議会なし、(3) 人事権なし の状況に置かれている。
さらに、研究費の傾斜的配分で再度問題となったように、
(4) 独立した予算配分もないようなのだ。
「首都大学東京」の影のような存在となってしまった4つの都立の大学は、
骨抜き状態で、今も多くの学生を抱えている。
「都立大は、今でも首都大とは別に存在する」、
「都立大には、今でも大勢の学生がいる」、
「都立大は、なくなっていない!」と声を大にして言いたいが、
その実、「今ある都立大は、去年までの都立大とは違う」
というのも事実なのだ。
東京都立大学の代表電話番号(0426-77-1111)に電話をかけてみると、
交換手が「首都大学東京南大沢キャンパスです」と答えるそうだ。
これでは、「首都大学東京」が、東京都立大学の存在を隠している、
あるいは、無視していると思われてもしかたがない、と思うのだが。