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OpenOffice.org2.0VineLinux 3.1CR へのインストールとスペリングチェッカーの設定[11/15/2005]

  1. イントロ

    OpenOffice.org 2.0は、Microsoft Office と互換性のあるオフィススイートとして、複数のプラットフォーム (Windows, GNU/Linux,Solaris,Mac OS X)で使える GNU Lesser General Public License Version 2.1 の元で公開されている無料で利用できるソフトウエアだ。 英語版は、2005年10月20日に、http://www.openoffice.org/OpenOffice.org 2.0.0が発表され、日本語の対応版は、 10月28日に各国語版と同時にリリースされた。 日本語版は、http://ja.openoffice.org/ からダウンロードできる。製品版は、 サン・マイクロシステムズから StarSuite8 として発表され、ソースネクストから StarSuite8 (3,970円)として発売されている。

    なぜ、私が OpenOffice.orgを使うか、というと、まず第一に、 VineLinux上で、MS WordExcel のデータを処理したいからであり、それも、積極的な理由というよりは、 周囲のWindowsユーザが、情け容赦無くWordExcelのデータを送りつけてくるからだ。 ここまでMicrosoftという会社に依存していいのか、 という問題意識すらない人が増えている。

    第二の理由は、 OpenOffice.orgが、 現在、36カ国語の言語に対応していて、 これからも対応言語を増やしていくという方針で作られているオープンソース・ソフトウエアだ、という点にある。 こういうと、 「Microsoft Wordだって、 たくさんの言語が使えるよ」という人もいるだろう。しかし、「多言語の文字が(同一文書で) 使える」ということと、 OpenOffice.orgの「言語対応」 の意味は違う。 OpenOffice.orgでは、外国語の文字対応の他に、 1. スペリングチェック、2. ハイフネーションチェック、3. 類義語辞典 を備えることを意味する(もっとも、2005年11月初旬の状況では、 類義語辞典のサポートは、まだ8カ国語しかない)。

    そもそも「人間は、間違いを犯す」というのはあたりまえのこと。 書いた文書の中に、スペリングミスがあるというのも当たり前の話。 しかし、何とかしてこの間違いを減らさねばならない。本を作る時、 あるいは、ハンドアウトを作る時、何度も校正するのだが、 それでも間違いが残り、出来上がった本、あるいはハンドアウトを見て青くなる、 というのは日常茶飯事だ。そんな時に、ワープロ側でミスを事前にチェックして おいてくれると、大いに助かる。論文を英語や他の外国語で書いた場合も同様で、 今では、ネイティブチェックをする前に、最低限、 スペリングチェッカーにはかけておくのが常識となっている。

  2. OpenOffice.org2.0のインストール

    OpenOffice.orgのインストールは簡単だ。 Windowsの場合は、ただダウンロードして、 ダウンロードファイルをクリックするだけで終了する。
    ここでは、 VineLinuxの場合を簡単に紹介する。
    http://ja.openoffice.org/download/2.0/index.html から OOo_2.0.0_LinuxIntel_install_ja.tar.gz をダウンロードする。
    size: 108,104,939 bytes
    (2005年11月6日時点で入手したもの)

    入手したファイルを解凍すると、OOO680_m3_native_packed-3_ja.8968/ というディレクトリが作られるので、そのディレクトリに移動する。

    [hoge@oraora src]$ tar zxvf OOo_2.0.0_LinuxIntel_install_ja.tar.gz
    [hoge@oraora src]$ cd ./OOO680_m3_native_packed-3_ja.8968

    このディレクトリは、以下のようになっている。

    [hoge@oraora OOO680_m3_native_packed-3_ja.8968]$ ls -R
    .:
    RPMS/  licenses/  readmes/
    
    ./RPMS:
    desktop-integration/                     openoffice.org-core05-2.0.0-3.i586.rpm             openoffice.org-graphicfilter-2.0.0-3.i586.rpm
    openoffice.org-base-2.0.0-3.i586.rpm     openoffice.org-core05u-2.0.0-3.i586.rpm            openoffice.org-impress-2.0.0-3.i586.rpm
    openoffice.org-calc-2.0.0-3.i586.rpm     openoffice.org-core06-2.0.0-3.i586.rpm             openoffice.org-javafilter-2.0.0-3.i586.rpm
    openoffice.org-core01-2.0.0-3.i586.rpm   openoffice.org-core07-2.0.0-3.i586.rpm             openoffice.org-math-2.0.0-3.i586.rpm
    openoffice.org-core02-2.0.0-3.i586.rpm   openoffice.org-core08-2.0.0-3.i586.rpm             openoffice.org-pyuno-2.0.0-3.i586.rpm
    openoffice.org-core03-2.0.0-3.i586.rpm   openoffice.org-core09-2.0.0-3.i586.rpm             openoffice.org-spellcheck-2.0.0-3.i586.rpm
    openoffice.org-core03u-2.0.0-3.i586.rpm  openoffice.org-core10-2.0.0-3.i586.rpm             openoffice.org-testtool-2.0.0-3.i586.rpm
    openoffice.org-core04-2.0.0-3.i586.rpm   openoffice.org-draw-2.0.0-3.i586.rpm               openoffice.org-writer-2.0.0-3.i586.rpm
    openoffice.org-core04u-2.0.0-3.i586.rpm  openoffice.org-gnome-integration-2.0.0-3.i586.rpm  openoffice.org-xsltfilter-2.0.0-3.i586.rpm
    
    ./RPMS/desktop-integration:
    openoffice.org-debian-menus_2.0.0-3_all.deb          openoffice.org-redhat-menus-2.0.0-3.noarch.rpm
    openoffice.org-freedesktop-menus-2.0.0-3.noarch.rpm  openoffice.org-suse-menus-2.0.0-3.noarch.rpm
    openoffice.org-mandriva-menus-2.0.0-3.noarch.rpm
    
    ./licenses:
    LICENSE_ja  LICENSE_ja.html
    
    ./readmes:
    README_ja  README_ja.html
    

    あとは、root になって、以下のようにrpm でインストーするだけ。 「(日本語の)ランゲージパック」の別途インストールは不要だ。

    # rpm -Uvh RPMS/*.rpm
    # rpm -Uvh RPMS/desktop-integration/openoffice.org-redhat-menus-2.0.0-3.noarch.rpm


  3. Language pack(German)のインストール

    ドイツ語のスペリングチェックができるようにするには、ドイツ語の Language packのインストールが必要になる。 一番簡単な方法は、Windowsでも、Linux でも、インターネットに接続してある状態で、 OpenOffice.org(例えば、ワープロである Writer)のメニューから行なう方法だ。

    (1) ファイル(F)→ウィザード(W)→新しい辞書のインストール(D)とクリック。
    (2) DicOOoの言語選択メニューが開く。そこで、該当の言語を選択

    後は、言語選択のメニューに従って行くだけだ。 DicOOoの画面で、例えばDeutsch を選んだ場合の説明をしよう(ここでDeutschを選ぶと、 以降のメッセージはすべて、ドイツ語になることに注意)。

    DicOOoで、Deutschを選択すると、 DicOOoVersion 1.5.3のページが開き、 以下のメッセージが表示される。

    DicOOo ist ein Assistent, mit dem fehlende Sprachpakete installiert werden.
    Klicken Sie auf die Schaltfläche um den DicOOo Assistenten zu starten:

    (3) 指示に従ってStarte DicOOoをクリックする。

    Willkommen zur Wörterbuchinstallation の窓が開く。

    ここでは、以下の3つの選択肢があるが、
    (4) defaultでチェックが入っている中央の Einrichtung für den aktuellenBenutzer(J)を選択し、 weiterのボタンをクリックして先へ進む。

      Offline Sprachpaket Installation(K)
    * Einrichtung für den aktuellen Benutzer(J)
      Einrichtung im Verwaltungsmodus (Benötigt Administratorenrechte(I)

    次に現われるのが辞書選択の窓。Rechtschreibungとなっ ているので想像がつくように、旧正書法、新正書法、新旧両方を含むもの、 などを選択できる。

    (5) 辞書を選択するために、左上の Wörterbuchliste anzeigen(D)をクリックして、 一覧表を表示させる。そのリストから好きなものを選び、 weiterのボタンをクリックして先へ進む(ここで、 ネットに接続して辞書の種類を表示するようになっている)。

    選択した辞書がダウンロードされると、以下のようなメッセージがでるので、 fertigstellenをクリックして終了する。

    Die Installation der Wörterbücher ist abgeschlossen.
    Zur Anzeige von wichtigen Informationen bitte Markierfeld markieren.
    Sie müssen jetzt OpenOffice.org und den Schnellstarter beenden und
    neu starten, um die Installierten Linguistik-Komponenten zu aktivieren.

    指示に従い、ここでいったんOpenOffice.orgを終了さ せ、OpenOffice.orgを再起動させる。


  4. OOo2 でのドイツ語の言語設定

    実際のスペリングチェックをする前に、言語の設定が必要になる。 基本的に、OpenOffice.orgでは、システムの「言語」と、 「ドキュメントの標準言語」として2言語(西洋諸言語とアジア諸言語)を指定できる。 具体的には、日本語版のOpenOffice.orgを使っている なら、システムの言語は「日本語」になり、アジア諸言語も「日本語」、 そして「西洋諸言語」が「英語」になる、という場合が多いだろう。
    しかし、ここでは、「西洋諸言語」に「ドイツ語(ドイツ)」 を設定する手順を簡単に示しておく。

    [1] [言語設定]→[言語]で、[西洋言語]をドイツ語にする。 参照:言語設定
    [2] [言語設定]→[文章校正]を選び、[使用できる言語モジュール(A)]をクリック。 言語の欄に、「ドイツ語(ドイツ)」を選択する。そして窓を閉じる。 参照:文書校正
    [3] [言語設定]→[文章構成]を選び、ユーザー辞書の編集を選ぶ。
      ブック(B) [standard [すべて]]
      言語(L) [すべて]
    となっているので、言語に「ドイツ語(ドイツ)」を選択すると、
    辞書「standard[すべて]」の言語を変更しますか?という窓が開くので、そこで [はい(Y)]を選択。
    [4] 文書校正の窓(モジュールの編集)が開くので、 そこで、文書校正(OpenOffice.org MySpell SellChecker), ハイフネーション(ALTLinux LibHnj Hyphenator), 類義語辞典(OpenOffice.org New Thesaurus)にすべてチェックをいれる。 参照:モジュールの編集
    最終的には、
      ブック(B) [standard [ドイツ語(ドイツ)]
      言語(L) [ドイツ語(ドイツ)]
    となる。 参照:言語設定終了画面  そして、[閉じる(C)]をクリックして設定は終了する。


  5. OOo2 でのドイツ語のスペリングチェックの実際

    (1) ドイツ語のスペリングチェッカーを導入する前の状態では、 ドイツ語の文字の下に赤の波線が入ってしまう。
    ここでは、

    Ich liebe dich.
    Hast du gehört, daß die Neue Rechtschreibung wieder etwas geändert wurde?

    という文2つを対象にした。 (画像S-1参照)。
    ここでは、Hastdie が英語の単語として認識されているので、赤の波線がついていない (Hastは、主語がthouの 時の動詞haveの人称変化した形、 dieは、もちろん「死ぬ」という動詞)。

    (2) ドイツ語のスペリングチェッカーを導入した後に、 上記の2番目の文の最後の単語wurde を、敢えてwrdeと入力してみた。 入力が終わり、次の文字?を入力した途端に、 赤の波線がwrdeの下に表示された (画像S-2参照)。

    (3) 文章校正のボタン(check mark)をクリックするか、 [ツール] - [文書校正]とメニューを選択するか、F7(ファンクションキーの7)を 押すことでスペリングチェックの結果を校正する窓が開く。 (画像S-3参照)。
    候補を選択して、[変更]をクリックすることで、修正することができる。 また、[1つ無視]、[すべて無視]、辞書に[追加]したりすることができる。

    (4) 実験的に、あるドイツ語の本の短めのパラグラフとその和訳と、 英語の本の一部のパラグラフを入力してみた。 その結果、2つの合成語(Zeitunglesen, Nachrichtenwelt と人名(Sick)に赤の波線が引かれ、 英語の文章は、数字と人名(Wilson, Pinker) 以外は、すべて赤の波線のつく結果となった。なお、 日本語の文章は、対象からはずされているので、赤の波線はつかない。
    (画像S-4参照)。
    [西洋諸言語]を[英語]に設定すると、当然ながら、 ドイツ語の単語に赤の波線がつく。


  6. OOo2 でのドイツ語の同義語辞書

    入力文章中の特定の単語の同義語を見つけたい時には、 該当の単語をマウスで選択する。
    (画像S-5参照)。
    そして、[ツール] - [類義語]をメニューから選択すると、 窓が開き、類義語が表示される。
    (画像S-6参照)。
    ここでは、außerdemを選択してみたが、 その結果表示された類義語は、 語義(M) に:ansonsten, dennoch、 類義語(N)に: ansonsten, auch, darüberhinaus, des Weiteren, ebenso, ferner, im Übrigen, noch dazu, obendrein, überdies, weiterhin, weiters (Österr.), zudem, zumal, zusätzlich だった。


  7. OOo2 のスペリングチェック雑感など

    (1) Language packを、 10個以上インストールすると処理速度が低下するとの警告が書いてある。 10の言語のスペリングチェックがまともにできれば、まあ言うことはないか、 と思う。Wordでは、Proofing Toolsを別途、購入しないとできないのだから。
    (2) 結局、西洋諸言語とアジア諸言語の2つまでなら、 同時にLanguage packを使える。 しかし、英語とドイツ語のように西洋言語を2つ入力した文書の場合は、 どちらか一方しか機能しない。 言語パックの切り替えをもっと簡単にしてくれればいいのだが (他のやり方があるかもしれない)。
    (3) 日常的な文書をドイツ語で書く場合には、 入力するとどんどんチェックしてくれるので、ありがたさを感じる。 しかし、ちょっとした専門分野の語彙とか、 新聞記事のような造語を多く含む文書を相手にすると、赤の波線が途端に増える。これらは、 使い込んで、慣らしていくしかないのだろう。
    (4) StarSuite8の方は、有料な分、フォントがついて いて、Word文書の再現性が向上したらしい。 OpenOffice.orgでも、フリーのフォントが利用できる。 その場合は、ネットにつないだ状態で[ウイザード] - [ウェブからフォントをインストール(G)]をメニューから選択すればよい。
    スペリングチェックの辞書、ハイフネーションの辞書、類義語辞書のインストールされるディレクトリは、 ~/.openoffice.org2/user/wordbook/

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