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雑多情報(2005年7月以前)

雑多情報・書庫(2)

  • [07/10/2005] [0円は安いか?]

    価格0円の雑誌がある.「これは安い」と言う人がいたので, 「値段がついていないのだから,安いとか高いとか言えないのではないか」 と,いちゃもんをつけてしまった.もうご存知の方も多いと思うが, (株)リクルートが発行している R25 という週刊誌だ.昨年の7月頃からスタートしたらしい.
    「オトコを刺激する情報マガジン」という呼び込みキャッチコピーの下に, 大きく R25 の文字.横にはご丁寧にも[アールニジュウゴ]と読み仮名つき. 毎週木曜日発行.0円.
    この0円週刊誌,結構売れている,いや失礼,持っていかれている. 最初に目撃したのは,この雑誌専門のラックがあって, そこをめがけて若い女性2人が突進して行く様だ.なんだろう, と思って私も思わず手を出してしまい,一冊持ってきた. A4サイズより若干縦が短く,およそ50ページ. 「ご自宅や会社までお持ち帰りください.」 と書いてあるのには,笑ってしまう.CONTENTS のページには,小さな字で, 以下のような説明書きがある(引用):
    [R25とは?:「18禁」ならぬ「25禁」の意. 25才以上の男性ビジネスマン向けの情報誌を目指して創刊されました. 政治もビジネスもスポーツも映画も,「オトコ視点」で編集しています. また,レビューと呼んでいるコラムの数が25個あるので,「レビュー25」という意味もあります.]
    価格0円というのは,儲かるのだろうか,いや儲かるに違いない. 広告もかなりの数が掲載されているが,多くの人に読んでもらえることを前提に, 価格0円が維持されているはず.内容も, オトコの視点を強調しているわりには,男女どちらが読んでもそれなりに面白いものを取りあげている. そこらへんの有料の週刊誌より,面白いかもしれない,と真剣に思った. そういえば,Microsoft の Internet Explorer も, 最初は Windows に付いていなかったが,無料で雑誌のCD-ROMにオマケでついていたのを思い出す. 0円で始めるビックビジネスが隠れているのかな? http://R25.jp もあるそうな. うっかり勧めてみたら,とんでもない結果になった,ということはないと思うが, 0円商売というのは,常識的な世界ではない.物凄い商売か,物凄い賭けか, どちらかだろう.

  • [07/01/2005] [ハイパーソニック・エフェクトを体験したいが,…]

    大橋 力「音と文明:音の環境学ことはじめ」(岩波書店) を読み終えて,当然ながら, 「ハイパーソニック・エフェクトを体験したい」と思った. 原始の人間の祖先達が日常的に聞いていた音, その音が人間の遺伝子情報にも組み込まれているとしたら,そして, その音を感知でき,その音が人間の脳の活動にポジティブな影響を与えるとしたら, 是非体験したいと思うのは人情だろう.本書を読み終え,とりあえず2つの音楽を聞きたくなった. 1つは,武満 徹の「ノヴェンバー・ステップス」. クラッシックの現代音楽に分類されているので,そこらへんのお店にはない. クラッシック音楽のCDを多く在庫している店で購入した. RCA Red Seal Best 100 に入っているもので,小澤征爾指揮,トロント交響楽団によるもの(BVCC-37283). 1967年12月8日録音された「ノヴェンバー・ステップス」. CDジャケットの背部には,その録音光景らしき場面の写真がある. もう1つは,バリの「ガムラン」.こちらは, 結局「アジアの音楽」JVC(VICG-41141)を<世界の音楽> という売り場で発見.その中にYAMA SARIによる UJAN MAS(黄金の雨) という曲が収録されている.もちろん,残念ながら普通のCDなので, 「ハイパーソニック・エフェクト」は体験できない. SACDで発売されていれば,それに対応したデッキとアンプで聴けるのだろうが,そんな環境は自宅にない. ということで,ハイパーソニック・エフェクトを体験したいが,それは, 当面は夢だ.
    「ノヴェンバー・ステップス」の尺八と琵琶の音は,それでも迫力満点だったし, 「アジアの音楽」には,シタールや津軽三味線の音,モンゴルのホーミー, 中国の胡弓,沖縄しまうた等が入っていて,それなりに満足できた. ただ「ガムラン」だけには,本当はこうではないはずだ,と思うと,不満に感じてしまったのは,気のせいだろうか?

  • [06/27/2005] [Word で英語以外の言語のハイフネーション]

      ハイフネーション(分綴)についての調査を開始してから,Microsoft Word での扱いが気になってきた.そこで,その筋の権威に問い合わせたところ, 日本語のWindows XP/MS-Office の環境でも,Microsoft の提供する Proofing Tools を購入すれば(およそ一万円), 英語以外の言語のハイフネーションを自動でやってくれることが分かった. このソフトには,2002年版,2003年版というようにいくつかが出回っている ようで,対応するWindows環境に合ったものを使わねばならないようだ. 使っている人から是非話を聞きたいものだが,身近に使っている人がいない. ちなみに,Proofing Tools には,30以上の言語のスペルチェッカーと文法チェッカー, 類義語辞書,およびオートコレクト リストが含まれているらしい. Office Multilingual User Interface Packs (MUI Pack) にも Proofing Tools は含まれているようなので,こちらを購入するという手もありそう.
    これで,ドイツから送られてきたWordのファイルを開けた時, 「ハイフネーションファイル mshy3GE.dll または mshy32.dll(ドイツ語(ドイツ)用) を見つけることができません」というメッセージを見ないで済むはずだ.
    ドイツ語圏でドイツ語のMS-Wordを購入すれば, 上記のハイフネーションファイルは標準でついているのだろう. (日本で販売するWordは,日本語と英語のことしか考えていないから,使いづら いのだと思う.)なお,日本で購入したWindowsやOffice製品と, きちんと連携して動くかどうかは,実際にやったことがないので分からない. 同名の *.dll ファイルを上書きするようなことがあると, 他のソフトの動作に影響を及ぼすことが海外のソフトを導入する際には起きる可能性がある.

  • [06/20,06/21x2/2005] [マウス君登場]

    2005年4月から2006年3月まで 「日本におけるドイツ年 2005/2006」が目下開催中で,さまざまな催しが行われていることは, すでに紹介したが,どうも広告の仕方がぱっとしない,という印象を持っていた.そこに登場したのが,「マウス」(die Maus)君である.ドイツ年の公式マスコットとして,ようやくお目見えし, 日本における公式ホームページが立ち上がった.といっても,このマウス君,「日本におけるドイツ年 2005/2006」 のためにデザインされたキャラクターではない.ドイツでは,かなり前から子供達に人気のある番組(1971年からWDRで放送されている), Die Sendung mit der Mausのキャラクターだ.その<とろん>とした目つきが,おそらく日本の<かわいい!>という発想(?)と結びつくと,かなりヒットしそうなものである.上記のサイトの情報によると,世界でおよそ60ヶ国で放映されているそうで,ドイツでのマウス君の認知度は95%だそうだ! これを機に,日本進出を狙っているのかもしれない.同サイトでは,グッズ販売もしているので,1つ 買って持ち歩くと,目立つかもしれない(当方としては,もちろん責任はとれない).ただ,私の古い記憶によれば,確かマウス君は,<とろん>とした目つきのわりには,けっこうはっきりとした性格だった記憶がある.<とぼけた>ところよりも,明晰さのほうが印象に残っている.子供の頃に,マウスと一緒に育った人達に,マウス君の印象を聞いてみたい.これをきっかけに,Die Sendung mit der Maus が注目され,日本でも放送されるようになると,ドイツ語に対しての関心も高まると思うのだが,どうだろう?

    [06/21/2005追加]と書いたら,実は,今年の4月4日からNHK教育テレビで放送を開始していた.
    教育テレビ(月〜金)午前7:45〜7:50,午後5:20〜5:25「だいすき!マウス」というタイトルでやっている. 詳しくは,http://www3.nhk.or.jp/anime/mouse/ を参照.しかし,5月16日からは,「ポペティ」という別のキャラクターに変わってしまう. 7月25日から,復活という話らしいが,NHKは,長期的番組として組み入れるつもりはないのかもしれない(だとしたら残念). 「日本におけるドイツ年 2005/2006」のポスターには,さっそくマウス付きのものが現れているが,マウス君,あと半年早く登場していたら,もっと宣伝効果が期待できたろうと思うのだが.

  • [06/12/2005] [形あるもの,すべて壊れる]

    コンピュータに依存した生活,コンピュータが基本的に好きな人間にとっては苦にならないが,嫌いでいやおうなしに使っている人間にとっては,不愉快きわまりないだろう.私は前者だが,それでもコンピュータが壊れた時には,さすがに嫌になることもある.実は,昨年の秋から,自宅で使っているメインのコンピュータが,予想不可能なところでフリーズするようになった. 空き時間を利用して,数ヵ月に渡る調査を行ったところ,どうやらマザーボードに原因があるらしいところまで分かり,今年に入って,ついに新しいマシンを組み立てることにした.
     前のマシンは,6年数ヵ月前に自作したもの.MSI ATX/BX Master というマザーボードにPIII 600EB をのせた.6年間の間に,ハードディスクドライブは,3個昇天(?)した.それでも,よく動いてくれたと思う. 今回は,ASUSTekのちょっと古め(そろそろ市場から姿を消しつつある)マザーボード P4P800-E Deluxe に,P4 3GHz をのせた. ネットワーク機能も音源も載っているボードだが,無事に認識してくれて動いている.
     パーツ選びは,ひまをみてメモしておいた紙をたよりに,休日に余力のある時,近くの店で少しづつ購入.しかし,メモした部品が店にはなく,結局予定とは違ったパーツがほとんどになってしまった.
     組み上がったのは,もう3週間前だ.Windowsマシンにはする気がないので, 以前のマシンでVine/Linux3.1を試験的にインストールした(がブートできなかった)ハードディスクをそのまま取り付けたら,感動的にあっさりと動いてしまった(ハードウエア変更にともない取り外されたハードウエアに対応するソフトウエアの設定を削除し,新しいハードウエアを検知し,それに対応するソフトウエアの組み込みをほぼ自動で行ってくれる).ということで,OSのインストールは省略できた.
     新しいマシンは,さすがに速い.しかし,消費電力も大きくなってしまった. そして,最後の仕上げとして,ハードディスクの中のデータの移行が待っている.かろうじて生きている前のマシンとネットワーク上でつなぎ,一発で完了をめざしたが,そうは問屋がおろさなかった.またしばらく苦闘しなければならない.過去の遺産を引き継ぐことが重要で,これができないと,意味がない.昨晩は,ネットワーク構成の見直しとソフトウエアの設定で終わってしまった(涙).
     なぜ,コンピュータの自作をするか? それは,自分の目で見て購入した部品で動く機械を作りたいから(自己満足).今は,29,800円で購入できるコンピュータもあるから,自作は安上がりではない.でも自己満足だけでもない.「形あるもの,すべて壊れる」という原則があり,コンピュータもいずれは壊れるが,自作すると,どこが壊れたのか,かなり予想がつく,というのが二番目の理由. Unix 系統のOSを使っていると,ハードウエアの不調は,ログとして記録されている場合が多い.ログを見て,部品を変えながら,長期間使うことを目指している.さて,前のマシンと同じように最低 6年以上は元気でいて欲しいのだが,6年後というと,2011年.果たしてどんな世界になっているだろうか. 

  • [06/08,06/09,06/10/2005] [サッカー日本代表,ドイツへ]

    サッカー日本代表は,ワールドカップ(Weltmeisterschaft)への出場を決めたというニュースが入ってきた.ドイツへの道が開けたということで,ドイツ語を教える立場からしても嬉しい.なぜなら,これでドイツに対しての興味が高まることが予想されるからだ.今年は,「日本におけるドイツ年」という枠で,さまざまな行事が行われているが,どうも宣伝不足という気がしてならない.それでも先日,東京駅丸の内側の新丸ビルの建設現場の前を通ったら,思わぬものを発見してしまった. 「日本におけるドイツ年」を記念して,建設現場の回りを覆う金属板に,ドイツのポスター展の作品がプリントされていたのだ. 建築現場の周囲を囲む覆いに,いったいどうやって,このような作品をプリントするのだろう? 基本的には,スキャナで読み取った情報を元に,「印刷」するのだろうが,印刷するための機械(プリンタ)があり,ペンキを凹凸のある鉄板に非常に高い精度で吹き付け,乾燥させるのだろう.ものすごいプリンタもどきがあるものだ.作品の内容だけでなく,背後にある技術にも敬服してしまい,しばし,足を止めて,見入ってしまった.
     が,しかしである.「ドイツ年」が終り,ドイツでのワールドカップサッカーが終わったら,逆に急激にドイツへの興味が下がるのではないか,なんてことを心配している.そもそも,ドイツどころか,近年は,海外に対してのまっとうな興味が,どんどん薄れているのだ.外国語の勉強と言っても,英語だけ.観光旅行に海外に行くことはあっても,留学して本格的に勉強する若者は決して多くはないようだ(資格を取ることを目指している学生は,それなりにいるのだが).本当に外国のことを知りたい,理解したい,という姿勢で外国語や外国の勉強をする人が減ることは,同時に,日本にいて日本のことが分かっていればよい,という狭い考えにつながる気がしてならない.
     折しも,6月7日の「ル・モンド」には,「フランス語は数を勘定できない言葉だから,国際語として失格しているのも,むべなるかなという気もする」と発言した東京都知事を,国連公用語として認められた言語への名誉毀損で告訴する準備が進められていることが報じられていた.その記事の最後の方には,「1999年から2003年までの間にフランス語を学ぶ学生数は10%減少した.とはいえ,今なお670の高等教育機関のうち500の機関で,24万人の日本人がフランス語を学んでいる.」と,その数を紹介している.おそらく韓国語や中国語の学習者は,増加しているのだろうが,全体として,外国語を本気で学ぶ日本人が減少しつづけているという印象は,拭いきれない.

  • [06/06/2005] [平成基礎科学財団]

    帰宅途中の時間をつぶそうと「サンデー毎日」を買ったら,「平成基礎科学財団」に関する記事があった.ノーベル物理学賞を受賞した,あの小柴昌俊氏が設立した財団だ.その設立に至る話,ある高貴な御二人からの10万年分の寄付金というのには驚いた.詳しくは,平成基礎科学財団のサイトを参照.実利主義に大きく傾いてしまった大学や研究所の実態からすると,本当にこのような基礎科学を支援する財団が必要になってきていると実感する.国民一人一人が毎年,1円寄付すれば,それだけでも大きな力になる.ある意味では夢の話だが,それを実現させてしまうところがすごい.同財団は,子供達に科学の楽しさを教える授業をした教師を表彰する事業も展開しているそうだ.今の子供達以上に,昔の子供達は科学に夢を持っていたように思う.そんな昔の子供達が,「大人の科学」を買って楽しんでいるのではないだろうか?(実は,私も2つ買って,作ってしまった.)「子供の科学」が人気になるような状況にならないと,日本の科学の未来は暗いと思うのだが,国がIT技術者養成とか,「もの作り大国」なんてスローガンを掲げても,本当の科学の面白さには直結しないのではないだろうか?「ビッグバンの前の宇宙はどうなっていたんだろう?」とか, 「人類が最初に使った言葉は何だったんだろう?」とか,実利とは関係ないところに,本来の科学に対する根本的な興味や関心があるのだと思う.夢を与える科学教育,夢を追い求める大学での研究,それこそが必要なのではないか?

  • [06/02/2005] [噂のシリーズ本]

    5月の研究会終了後の席で,あるシリーズ本が話題となった.<言葉のしくみ >という白水社の90周年出版記念本だ.すでに「フランス語のしくみ」と 「ドイツ語のしくみ」の2冊を読んだという人もいた.初級の語学入門編の 前に読むと面白いという話もあるが,本来,「言葉のしくみ」こそ文法なわ けで,従来の文法書がある意味で体系的な全体像をうまく学習者に提供して いなかったということだと思う.
    キャッチコピーとしては,「まったくの初心者でも実に効率的に学べる」, 「読者みずからが発見していく構成によって,飽きることなく通読できる」, 「言葉の楽しさ,面白さ,そして発想の多様さを実感できる」となっている.
    現在すでに,ロシア語,フランス語,ドイツ語,スペイン語,ベトナム語, インドネシア語,韓国語,イタリア語が出ている.例えば,イタリア語は 1400円(+税70円)でシングルCD付き.
    このような視点の本は,これまでの語学書になかった大変ユニーク な企画だと思うが,その出来不出来は,ひとえに著者の言語感に依存すると 思う.さて,全部読んで,どれが一番面白いか,較べてみますか. ちなみに,ドイツ語研究者のある方は,「フランス語のしくみ」が面白かっ たと言っていました.

  • [05/31/2005] [雑誌特集]

    NIKKEI BYTE 6月号(No.265)は,「言葉を理解するコンピュータ」が特集(P.30-53)で ある.一般向けの雑誌(?)で,言語理解を扱ってくれるのは,久しぶり. 全体が4章に分かれ,Part 1:復活 自然言語処理の静かな再来, Part 2:応用 百花繚乱のアプリケーション,Part 3:理解:会話する機械 への道,Part 4:言語を獲得するコンピュータ,となっている.
    コンピュータ系の雑誌であるので,当然,コンピュータへの応用という視点 から言語理解を見ているが,一般向けのまとめとしてはよくできている. 言語研究者としては,Part 4 に期待してしまったが,いくつかの研究を手 際よくまとめた,という感じで突っ込みがちょっと足りない気がした. もっとも,大橋 力「音と文明:音の環境学ことはじめ」(岩波書店) の第4章「言葉の脳」を読んだ後だったので,当然だったかもしれない. 大橋氏の発想には,感服してしまう.機械とのアナロジーをここまで見事に 示してくれた本を私は他に知らない.

  • [05/30/2005] [訂正に至った経緯]

    ドイツ語あれこれ のページに「尼崎電車脱線事故に関するfazの報道」[05/27/2005]を書いたが, その中で,以下のような箇所があった.
    「(1) 新聞の記事は,CD-ROMで販売されているが, 極端に高価である(うろ覚えの記憶では,1/4年分で,日本円で20万円近くした).
    (2) ネットでは,http://faz.net/ あたりから読めるのであるが, 実は,契約をしてお金を払わないと読めないようだ.
    (3) で,ちょっとした裏技.今回は,ドイツの http://www.google.de/を利用して,「Japan Zug Unfall faz」のように検索を始めた.
    (4) そして,該当の記事らしきものを見つけたら,キャッシュ(Cache)をクリック.
    (5) これで,契約している誰かがGoogle経由ですでに記事を運良く読んでいれば, 記事が読めることもある.」

    これに対しては,こちらの誤解に基づく過ちがあった.お詫びして訂正する. 今回の訂正のきっかけは,1通の匿名氏からのメールだった.

    まずは,訂正箇所:(1)の後半の価格は,うろ覚えの情報なので削除.
    (2) は,事実誤認.http://faz.net/から読める記事には, 有料のものと無料のものがある.該当の尼崎電車脱線事故の記事は, 確認した所,無料であった.その時の手順に従って,記述を修正した.
    (3) Google のキャッシュを見ることで, 有料の記事を読めると考えたのは,一般的常識から言ってありえないこと. おおざっぱに説明すれば,検索エンジンは,Web Server のロボットに対する指令に従って,記事を網羅的にピックアップしてインデックス化する. 有料の記事を置く新聞社のサイトでは, それなりの工夫をして(例えば,SSLを使い,パスワード認証の下に, 特定のページの閲覧を許可する)記事を特定読者にだけ公開しており, このようなサイトには,検索エンジンは,普通入ることができない. 従って,(5) で述べたような, 「契約している誰かがGoogle経由ですでに記事を運良く読んで」いたとしても, Google には,ひっかからない.従って,(5) も事実誤認であり,削除した.
    なお,今回の匿名氏は,なかなか手のこんだ回り道をしてクレームをつけてきたので, 当方としても,それなりの調査させてもらうつもりでいる. また,ネット社会での興味深い法律論争を含むので,その内, 専門家の意見を交えながら,意見を述べることにする.

  • [05/23/2005] [読書]

    実は,大橋 力より前から読み始めた本がある. がらにもなく Jelinek.そう,昨年度のノーベル文学賞受賞者の Elfriede Jelinek の作品. 日本では,ノーベル文学賞を取ったころにちょっと新聞で紹介された程度だと思う. かつての同僚に,こっそり聞いてみたら,ドイツでは人気がないのだそうだ. 彼女は,1946年10月20日,オーストリアの Mürzzuschlag/Steiermark 生まれ,ウィーン育ち. そして,フランスでは人気があるとか.ふーむ.そこで, その同僚にどんな作品がお勧めかを尋ねた.一押しは,「Lust」. 一見,というか一読は,ポルノ小説として読めるらしいが,実は, 裏が本当の姿だというのだ.では, その表と裏をいっぺんに楽しんでしまおうと思って読み始めたのだが,... 思ったより難しい.字面は追えるのだが,一体何の話なのか, ついていくのが大変で...ここは,まず DeLi の最新号 でも読んで出直しをするべきか.それにしても, このような文章をすらすらと解読して楽しむことができる文学研究者がいることが驚異だと思う. 私には,やはりプロットのはっきりした,単純明快現代通俗小説が似合っているのかもしれない. ドイツ語を教える身としては,常にドイツ語の本を読むように心掛けているのだが, この頃,面白い本に出会わない.Jelinek が面白くなればいいのだが.
    (Elfriede Jelinek Lust. Rowohlt Taschenbuch Verlag, Reinbek bei Hamburg, 1992. ISBN 3 499 13042 4)

  • [05/22/2005] [読書]

    大橋 力「音と文明:音の環境学ことはじめ」岩波書店, 2003年(ISBN 4-00-022367-4)を読んでいます. 2003年10月末に出たこの本のことを,まったく知らなかったのは, うかつでした.2005年3月末に,当時の同僚のOさんに教わり, Amazon で注文したら翌日には届いていました. ある意味では,たった一言で言えてしまうこの本の内容, 実はかなり深い所にあり,私はまだ第2章をうろうろしています.

    さて,その内容ですが,人間が生きていく上において, 「必須の音」が存在する,ということ.それを, <科学,技術,芸術>の融合した環境学の視座から説き明かすという壮大なプロ グラム.哲学と大脳生理学,音響学など, いろいろなものが入り交じっているところが不思議な魅力をかもしだし, 読み手にスリルを与えてくれます.

    つい先日,音声・音韻論に関する話をしていた講義で, ちらりと内容をしゃべってしまいました.学生は,分からなくて面食らったかも.

    (値段4400円+税,602ページ)


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